8月14日。未日記/道草次郎
 
、この暑さは尋常ではない。西瓜を食わないかと呼ばれたのに生返事をしたままでいたら、家人に一寸叱られた。


PM5:17

悲しみ。ひとつ詩を書く。本文が、よいものをください、だけの『よいものをください 』という詩。

激しい自己嫌悪と自責の念。その詩のうしろの空白はそれはそれは白いのだが、じっと目を凝らしていると、微かな細いシャープペンシルでなぞったような輪郭がわいてきてその輪郭が形作るものはやがて1匹1匹の貘となる。輪郭のみのこの白貘はどこかこの世ならざる容姿をしているが、ヤケに人懐っこそうな雰囲気も持ちあわせている。いつしか空白上をゆらゆらと浮遊し始めた貘の
[次のページ]
戻る   Point(2)