愚かさ/道草次郎
 
こんなにも短時間で
醜くそして優しくなれるぼくたちなんて
もうほんとうに
どうしようもく虚空をさまようようだ
きみは電話のむこうで
また泣いて
けれども君がぼくを思い言ってくれる言葉は
もうぼくには届かない
それどころか
ぼくの中のおどろおどろしい何かを刺激して
自分でもおそろしいほどの
悪意を伴って君へ吹きかける毒としてしまう
そんなみにくい懊悩を
君はかなしんで
もう泣くのもやめてやがて
ぼくのことがほんとうに心配だという
ぼくはそれでもまだ
懊悩と弱さに支配され
君の気持ちを
バキバキと絞め殺してゆく
病んだようだよ
ほんとうにそうさ
ぼくはもう自
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