もう一度/道草次郎
 

8月ももうじき
お盆だというのに
御先祖のことなんて
とても考えられないのが本音だ

ぼくは明日君に黙って
昔から可愛がってくれている
93歳のおばあさんを
お墓に連れていってあげることにした

君は
おばあさんのことも
御先祖のことも
お墓に備える花のことも
そして
ぼくがこうして詩なんかを書いていることも
ぜんぶ
消し去るぐらい
つよく
現実というものを突きつける人だ
そうだった
ぼくは
文学や詩が好きだったけれど
君は
なんにも理解しなかった
けれどもこの3年間で
ぼくが自らに課したことは
そんな君を
文学や詩に一切依らず
大切に
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