ミルキーウェイ〜宮沢賢治と夜に捧げる/道草次郎
いうよりも、様子から察するに普段からいつもこんな調子みたいだった。
その口振りといささか緊迫した様子から、どうやら二人の老人は夜陰に乗じて何らかの不正を働いているのかもしれなかった。
それを直感したのは勿論ライトの明かりを目にした瞬間ではあったが、実感として感じ始めたのは意外にも自動販売機の近くまで来た時だった。
ぼくの胸は依然としてドキドキしていたが、あの二人が別に怖いというわけではなかった。
それよりも、その時ちょうど川面に偶然現れた数匹の蛍の舞に注意をとられていた。
ホタルは清流にしか棲息しないはずではなかったかとか、そんな事ばかりが頻りに頭に浮かんでくるのだった。
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