信じられないこと/道草次郎
 
とすらせず、幽霊として夢とうつつをおびやかしている。

まったく信じられないので、しかたなく、モーパッサンや夏目漱石を熟読してみる。今まで、若い折には分からなかったことが腑に落ちたり、分かるような気がしたり、する。漱石、、、構文のなかに単語が転がっている。単語は裸足の子供のように、豊穣な空き地を探検する。砂で作った現代文の城。モーパッサン、、、無内容だ。だから、工夫が必要だし語り方が肝要なんだ。非常に弁えていて、それでいて聡い。しかし、余りにも弁え過ぎている。


芸術の形式(?)を考えることは、なんというか、甘やかな中年の遊戯か祈祷に似ている気がする。そんな、気もする。


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