エリオット「伝統と個人の才能」/藤原 実
べき情緒を分類し、ランク付けしている。
詩は詩人一個の経験した情緒などを超えて、さまざまな情緒が集中し「特異な思いがけない仕方で結合」し、化学反応を起こす場であり、この場を豊かにするために詩人のなすべきことはみずからの個性などは滅却し、ただひとつの「媒体」と化すことだ。
「詩は情緒の解放ではなくて、いわば情緒からの逃避である。それは個性の表現ではなくて、いわば個性からの逃避である」
(「伝統と個人の才能」)
ここに「非個性」と「情緒からの逃走」という二十世紀の詩における最大の手品のひとつが現出すること
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