夜に捧げる何か/道草次郎
 
夫婦でよく話し合って決める事にしますので後日また連絡させます、と言って話を終わらせようした。
でもけっきょくはその前に妻に電話を奪われしまった。
それからは、上司との話し合いに大した進展もなかったようだ。
とりあえずは、さしあたって必要な事務手続きを行う為に一度事務所に来てもらいたい、というような現実的な話でその電話は終わったようだ。

寝室では相変わらず妻が静かな寝息を立てながら夢の中を泳いでいた。

ぼくは深呼吸をした。そして、もう一度深く息を吸い切ったそのままの状態で、ピタッと呼吸そのものの活動を停止させてしまった。
このまま、どこまでもいつまでも息を止めていてやるんだ、ぼく
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