ドジョウの話/道草次郎
て、毎日どうにかして生活する糧を得ようともがきながら生きている。または、生きようとしている。
ぼくらにとって荒野はとても身近で、憂鬱はそこらへんの自動販売機でも売っているし、市役所は絶望の申請所、交差点はいつも戦争中だ。ショッピングモールの陳列棚にはため息が並んでいる。
たいていの営業マンは辞めたそうだし、宅急便の配達員から借りるペンは高確率で湿っているし、みんな朝よりも夜が好きで、夜になれば夜も嫌いだと言っている。
だから、いつでもこの荒野は、もちろん本当のあの寒風吹きすさぶ荒野とは一切似つかわしくなどなく、どこか偽物じみたテーマパークかテーマパークのパクリのテーマパークみたい
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