ドジョウの話/道草次郎
かもしれない。
ぼくは一晩ずっと、いや、やっぱり子供だからたぶん12時までには眠ってしまったろうが、それまではずうっとドジョウを眺めていた。
ドジョウはドジョウだった。
にょろにょろとお互いの体を絡め合いながらバケツの中で動いていた。
バケツの前で便所座りをしながら、気持ち悪いなぁとかお前へんなヒゲ生やしてるんだなーとか呟きながらも、ドジョウに触れるや否やそのどぅるっとした感触にすぐ手を引っ込めたりしたものだ。
話の脱線をもう少し我慢してもらえたらありがたい。
ドジョウを放流したその時ぼくは言い知れぬ感動を覚えた、というような事はもちろんなくて、せっかく捕まえたのに
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