混沌ー予備校のことなど/道草次郎
を挟むような人だった。一児のパパで、何故かギリシア語の勉強をしていた。
その頃のぼくは何もかもが不満だったかもしれないけれど、家に帰ったら普通に食卓につき、テレビのバラエティー番組を観ては大きな声で笑ったりするどこにでもいる10代の男の子だったと思う。親戚の集まりには顔を出したし、近所のおばさんにもちゃんと挨拶をした。漢字が好きで分からない言葉はすぐに電子辞書で引いていた。満員電車の中でもお構いなしに電子版広辞苑を操ってしまうような青年だった。
話は戻るが、ぼくが通っていた予備校は当時全国にスクールを多数展開していて、そこで働く講師及びスタッフの人事は流動的なものであった。他県のスクー
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