分からない という欺瞞の詩/道草次郎
 
のはじつは彼らの
抜け殻で、クジラや蛸たち
だけが辛うじてまだ仲間でいてくれている。しかしそれも
時間の問題だ。もし他の星から地球外
知的生命体がやってきたとして、まずはじめに彼らがすることはサ
バンナを走っている抜け殻たちを連れてきて研究することだろう。ちょうど古生物学者
が太古の生物の痕跡を
地層深くに求めるように。きっと人
間は見向きもされない。宇宙にありふれた渦巻運動やフラクタル構造ぐらい
にしか見てくれない筈だ。一通り研究が済んだら彼らは
さっさと次の星へ行ってしまうに違いない。さあ認めよう、やはり途轍もなく分からない
のだ。そして、
その分からなさ
を抱えて生
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