礫/あらい
 
 大振りで且つ皮の無い影に秘された鶯色の、葡萄の礫のような表皮が、あたりに広がっていく様を、あなたがひとつひとつちぎっていくものです。痛みを無くした義賊の有袋類の殺り方、確もゆめもうつつに。柔肌に恩恵を賜ります故に沙羅に等しく願いをかけて。
 天に戒める我らが至高のその後、浅ましい麻袋に詰まる間延びした蟒蛇の毒牙、引っこ抜いて煎じてみせましょう。とも今更、助かる見込みもない過去に、どんな妙薬を与えたところで花開くものでもないでしょう。空虚なもの、ただただありて、高みから見物致す。
 呆れもしないほどの齷齪と魂動を結び付け、出鱈目に暗算する。陽時計の針は焼き尽きても時は加速を増して、ましてや車軸
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