ルート19号の幻想/道草次郎
 
の女友達といつも一緒にいたけれど、僕が初めてその部屋に来た時はうつむきながら給食を食べていた。その子と特別何かあったわけでもないのに、僕はたしか日記にその子の苗字に「さん」を添えて、ありがとうと書いた記憶がある。しかもエクスクラメーション・マーク付きで。

それから、同い年なのに身長が180センチ以上もある男の子。空手で県三位の成績を収めたとかいう伝説の男の子。彼とは少しだけ話をするようになったので、ある日、人気(ひとけ)のない午後2時半のグラウンドでキャッチボールをした事があった。ソフトボールしかなかったので、その時はソフトボールで。ぼくはソフトボールをこんなにも速く投げる人を知らなかったし
[次のページ]
戻る   Point(6)