ルート19号の幻想/道草次郎
 
あり、そこは中間教室と呼ばれていたけれど、十五のぼくはその一隅で文語体で書かれた『旧約聖書』の天地創造の部分だけをノートに丸写ししていた。

さっきも言ったけれどぼくは不登校児で、自律神経失調症で、デブで、どこかお調子者で、ちょっとだけ猫の毛アレルギーをもっていた。


なんだろう、この記憶の流れ出しは。思い出の毛糸で編んだセーターの一箇所にちょこっと飛び出ている記憶があって、それを引っ張っると、百均で売ってる万国旗みたいな害の無い混沌が溢れ出してくる



中間教室には、他の学校からも何人か生徒が顔を見せていた。

覚えてるのは暗い顔をした女の子。その子はもう一人の女
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