黄金挽肉炒飯殺人事件/墨晶
布団から首だけ出した老人は一分も身じろぎしない、目は見えているかすらわからない。
「俺は、こんな粗忽者の息子に、店と一丁の拳銃を遺して死んだのか。お前が、過去にどんな馬鹿げたことをしても、俺にはどうでも良いことだった。しかし、永劫変り得ぬお前の馬鹿さ加減には、俺は情けなく涙も枯れ果てた」
「父さん! お客が云ったんだ! オレのチャーハンには『エムエスジー』が入ってないんだって!」
「良く聞け、粗忽者の馬鹿息子よ。『MSG』と云うものはだな、『マジソン・スクエア・ガーデン』のことだ」
「マ、マジソン・・?」
「そんなものをチャーハンに入れる馬鹿があるか、情けない」
「
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