砂上の罪跡/あらい
耳は言うことを全く聞こうとはしないもので、きっと私の思うように介錯されているのだから、やはりこの身は死者が動かしているに違いない。
ずりずりとにじりよる。
未来の扉は、恐ろしく強張ったこの腕を引き寄せるが声を上げようとも果たして気づいてくれるものなのだろうか、私の声は正しく開かずの門を開かせるのだろうか。警鐘が鼓動に共振するのだが、彼女らはただ能面な微笑みを緞帳に揺るがせているろくでもない栄華にもならない、
時に犯されると私は思うのだ。
巻き戻らない快楽に奔らせるだけの夢精。
くだらないときにこそ意味を持たせる欲の曖昧な悟りに酔っていければ、そうだな、阿呆で在りたかったのに何故
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