恋昇り11「合格」/トビラ
 
救けてくれますか」
「一ノ世ユイトの救出ですか。ふむ。不可能ではありませんが、残念ながら、今回、私にはそこまでの権限は与えられていません」
私は考える。
「一ノ世君と連絡を取りたいです」
「一ノ世ユイトと、連絡を取る」
密の人はそう言うと、レジを少し打って、手元にあったチョコのバーコードを読み取る。
「このチョコのバーコードを、特別なパスコードにしました。一ノ世ユイトと連絡を取る前に、このバーコードの数字を入力をすれば、一度だけ通信がつながるでしょう」
「一度だけ、ですか?」
「はい。妨害する相手に気づかれるまで、ということですね。一度気づかれたら、そのパスコードは二度と使えません
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