恋昇り11「合格」/トビラ
せん。時間は、そうですね……、十分は保証しましょう。その間は、誰にも気づかれることなく、一ノ世ユイトと通信が取れるでしょう。そして、十分を越えることは、お勧めしません」
「連絡を取ってることを、知られないためにですね」
「ええ」
密の人は楽しそうに笑う。
「私としては、これ以上、開示できる情報はありません」
私はチョコを握る。
これ以上、開示できる情報はない。
その言葉が重い。
「せっかくのアイスが溶けてしまいましたね。新しいものと、交換しましょう」
そう言って、カウンターから出てくる密の人の身のこなし、動作を見て、この人が敵じゃなくて本当によかったと思う。
アイス
[次のページ]
戻る 編 削 Point(0)