ある疑問/まーつん
る相手を安易に攻撃しない。恐れる相手に出会った時、人は逃げるかへりくだるかの選択を迫られる」
娘は眉をひそめたようだった。
「そんなの、どっちも嫌だよ」
楠の枝から落ちていく一枚の葉。僕はさらに続けた。
「だけど、もう一つの選択肢がある。勇敢に立ち向かうという道だ」
娘はしばらくその答えについて考えているようだった。そして失望した声で言った。
「じゃあ、結局相手を傷つけるんじゃない」
その通りだった。だが、娘は間違ってもいた。僕はこう答えた。
「それは立ち向かう相手がだれかによる」
娘はしばらく黙ってから問い返した。
「どういうこと?」
僕は答え
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