恋昇り7「やさしい夢」/トビラ
 
明けてくる。

暗がりをぬけると、うっそうとした森の中、なのかな?
見たことのないほど大きな樹がたくさん。
でも、あちこちに木漏れ日が満ちていて、不思議に明るい。
うさぎさんは、こっちをみて言う。
「あの先にある庵に『主様』がいるから」
「私に会ってほしい人って、その『主様』?」
「うん。ボクは、主様の使いだから」

なだらかな坂を登ると、小さな庵が見えてくる。
その前に長椅子に座るおじいさんがいる。
淡雪のような純白の白髪のおじいさん。
さあっと、風が吹く。

「主様、お連れしました」
「ありがとうな、『はなまき』」
「うさぎさんは、『はなまき』さんっていう名前
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