恋昇り7「やさしい夢」/トビラ
名前なの?」
「そうだよ。シイラさん」
そう言って、はなまきさんは、主様の足元に座る。
「ありがとう。よく来てくれてなあ。ありがとう」
主様は、見た目は、白髪のおじいさんなんだけど、目がどこまでも澄んでいて、お年寄りという感じが全然しない。
「今日、来てもらったのは、お前さんに渡したいものがあるからなんじゃよ」
「渡したいもの、ですか?」
「はなまき、あれを」
「はい」
そう言って、はなまきさんは庵の中に入っていく」
「ここまで来るのは、大変だったかい?」
「とても楽しかったです。花はとってもきれいですし、はなまきさんはかわいいし」
主様は顔をくしゃとほころばせて、ほう
[次のページ]
戻る 編 削 Point(0)