恋昇り7「やさしい夢」/トビラ
 
ている鈴蘭のような花をふたつとる。
そのひとつを私に握らせてくれて言う。
「じゃあ、行くよ」

暗がりの中に入ると、鈴蘭が(あれ? こんなに大きかったかな?)、鈴蘭の花の一房一房にポ、ポ、ポ、ポと光が灯っていく。
あたりをやわらかく照らす。
「きれいだね、うさぎさん」
前をぴょっこんぴょっこん歩くうさぎさん。
こっちをむいて微笑んで言う。
「そう、きれいなんだよ。とっても」
うさぎさんのあとを歩いていく私。
前に進んでるのか、右なのか左なのか、まっすぐなのか、ぐねぐねなのか、それもわからない暗がりを一緒に歩いていく。
とてもやすらかな気持ちで。

歩いていくと、前が明け
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