恋昇り5「心配と信頼とシュークリーム」/トビラ
 
い。
この気にかかることの無さが、かえって気になる。
まるで、気にかかることが、あらかじめ先回りして消されているような。
少なくても、一ノ世君はこういうことはしない。
一ノ世君だったら、絶妙に気にかかることを残して、それを何かの手ががりとして残してくれるはず。
私には、連座ほどの分析力がないから、この気にかかることがないことが気にかかるということを伝えよう。

時刻は、夜十時を回る。
連座から指示のあった場所も回り終えた。
ふむ。
大通りから、脇道に入る。
道はどんどん狭く、薄暗くなっていく。
複雑に入り組んだ都会の死角。
光の届かない袋小路。
ここから先は、行き止まり
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