気が付いたらボロ雑巾のようにベッドに転がされていた/山人
らの記憶はない。
気が付いたら、私はボロ雑巾のようにベッドに転がされていた。左手には点滴、胸部分にホルター心電図、尿管カテーテル、鼠径部付近を覆った硬いコルセット。ずっと仰向けでいたので腰は痛むし、息を大きく吸うと胸の圧迫感があり、なによりも困ったのは喉が干からびていたことだ。唾を飲みこめない不安はとても怖い。さっそく看護師を読んだ。まだ麻痺している呂律の回らない言葉で喉を湿らせたいと懇願した。水分が摂れるタイミングは術後二時間とされていた。少し早めだったが湿らせるだけならよいだろうという事で許可されたのだった。これで少し安心したが、あとは腰の痛みだ。絶対安静時間は三時間とされていて、あと
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