途の硲/あらい
落ちた種子に涙を注ぎ込み、密やかに膝を折る。
ひびわれの地は 琴の穂か 柔らかな過去を歩ませり
歌声と揮う、ざまざまの、
綿毛の行く先を決めるものは誰とでもなく
崩れたこの牙城に選って入っても、降灰は生さず
その光、足元に嵩と盛り、雑草を際立たせる。
何もかも平凡で逆さまで、狂っても、愛しているもの
ため息にあまつゆの雫を清きものとする
濡れ美微子の後れ毛もさながら、
唯の影とも遊ぶ理解不能なイカサマ、
逆撫で声で端役を惹きつける芥も味に変容する風潮が
垣間見せる視点と基点を結ぶ、沢山の幽体を錆き糸に通し
やつとこ、組み敷いた川面に浮いている ありあわせの脂
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