娘へ/万願寺
涙でぐしゃぐしゃなんだわあ。あなたがそうであるように、私もぐしゃぐしゃなんだわあ。結構な大騒ぎです。もう帰ってくるとむらさきぐものきれいな朝空が見える季節になってしまったし、私の古い恋なんてほんとにほんとにくだらないもので、早く忘れたいと思う。早く忘れたいと思うのと、あの人が好きだと思うことはまったく別のことで、そこを分かって欲しいなんて、残念ながら私はあなたに要求します。好きなの。あの人が好きなの。それはまったくどうでもいい、忘れるべき恋なの。二つの文の間に接続詞なんてないの。恋をする女がきらい。恋をする女は自分に価値があるみたいにふるまうからきらい。恋をする女が惚れた相手にも価値があるみたいに
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)