罅/星染
 
いと泣いていた とても飛べない翼を抱いて、軋む背中が語っていた 私たちは結局どこにも行けなかった、上にも下にも、だから抱き合うのかな、私たちは可哀想どうしでしか愛し合えないのかな、かなしいね、さみしいね、でも、
でも愛は、
残された月の欠片が泣いている、夜に、冷たい風だけが友達だった、冬、冬だけが私を見ていてくれた、メリーゴーランドの残光 夢なんかないよ 恋なんてないよ 幻想だ 綺麗だと言われるものなにもかも、嘘っぱちで、だからばれないように私たちは、キスをする、手を繋ぐ 事実でしか証明できないもの、崩れたと思えば崩れるもの、初めからなかったと思えばなかったことにできるもの、恋は世界で一番脆い
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