街路樹、街路樹/竜門勇気
 

君が僕を嫌っていることに気づいて
ニヤニヤとしていた

ずっと気づかなかったことだけど
それがわかると
不思議に思えた仕草や言葉が
当たり前のように思える

なにかに反射した夕暮れが
カーテンのてっぺんから天井に差し込む

なんだおめえも一緒だったじゃねえか
特別だってわかったふりをして
なんだかタネの割れた魔法みたいだ
きみが来るっつってた駅前で雨を見上げる

僕が君を好きだったってこと
嘘にしていいかい

ずっと気づかなかったことだけど
それがわかると
不思議に思えた仕草や言葉が
当たり前のように思える

なんだ俺も一緒だったじゃねえか

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