<詩「あるなんでもない日」、「白き神の抱擁」、「婚礼」、「カフェ」「君の来る日」、「山城合戦」、「冬.../タカンタ、ゴロキ、そしてパウロ
 
一年半後にそこを辞め、故郷の町に帰った。彼は、彼女に最初から
魅かれるものを感じ、施設にいた二週間くらいの間、彼女とよく散歩をした。彼女が故郷の街に帰っ
たことを、彼は姉と彼女からの手紙で知ったが、その半年後、彼はようやく彼女のもとを訪れたので
あった。

 「優香里さん、僕は一日中、ずっとあなたと話をしていられそうな気がしますよ」「まあ、あなた
は私にもあなたにお話ししたいことがたくさんあるとはお考えにならないの」。彼女は少し非難を込
めた眼で彼に言った。

 彼女はこの街で子どもたちにピアノを教えて生計を立てていた。子供たちにピアノを教える楽しさ
、ピアノを静かに弾くことの
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