衣擦れ/メープルコート
 
罰が当たると思いながら。
 それでも生きてゆくのには仕方がなかった。
 死など考えた事もなかったから。
 自分のために人を傷つけた。
 自分を守るために。
 とうとうお迎えが来たのか。
 静寂の中、それは消えない。

 もしも神様がいるならば、苦しむ子達を見過ごすはずはない。
 世間から見放され、愛すべき、いや愛されるべき親からも見捨てられ、
 施設に入り、体を売っている子供達を見捨てるはずはない。
 彼らこそ賞賛に値する人間だ。
 もしも神様がいるならば、彼らの誤解は解けるはず。
 それでも現実は甘くない。彼らに厳しい。
 神様なんていないのだ。
 もしも私に神様が
[次のページ]
戻る   Point(1)