衣擦れ/メープルコート
罰が当たると思いながら。
それでも生きてゆくのには仕方がなかった。
死など考えた事もなかったから。
自分のために人を傷つけた。
自分を守るために。
とうとうお迎えが来たのか。
静寂の中、それは消えない。
もしも神様がいるならば、苦しむ子達を見過ごすはずはない。
世間から見放され、愛すべき、いや愛されるべき親からも見捨てられ、
施設に入り、体を売っている子供達を見捨てるはずはない。
彼らこそ賞賛に値する人間だ。
もしも神様がいるならば、彼らの誤解は解けるはず。
それでも現実は甘くない。彼らに厳しい。
神様なんていないのだ。
もしも私に神様が
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