生きてきたこと:Part 2.1/由比良 倖
る『鬱』の世界観を、僕の個人的な経験から引き出すことも出来るかもしれない。僕は一般論を書く気にはならないし、また、僕の苦しみを引き合いにして、何というか、張り合う気も全然ない。まあ、普通の人生の中には、十分な地獄が閉じ込められているのだ、ということをエンターテイメントみたいにして、今の僕は、過去の自分を楽しみたいし、また、ある程度まで万人に共通するだろう鬱の世界を、ひとつの症例として、また、ひとつ、希望のドキュメンタリーとして、楽しんでくれればいいな、と思う。
僕は違う世界に住んでいた。きらきらと降ってくるものが昔あった。僕にはもう、何も降ってこなかった。「好き」という感情が何より大事だと
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