生きてきたこと:Part 2.1/由比良 倖
化なので、「変わった」とまでは言い切れない。……五年間、もしかしたら八年間近くの空白を、今は僕は愛している。暗黒、そして絶望を、僕は僕なりに時間をかけて知った。五年間の明日の無さは、今もすっかり僕の骨に刻まれていて、僕の皮膚に乾いた皺を刻んだ。その皺を、僕はとても愛おしく思う。
《2》不幸な世界、鬱
暗い、希望のひとかけらも無かった五年間を、僕は便宜的に『鬱の期間』と呼んでいる。単に『不幸な世界』と書いても『絶望』と書いてもいいかもしれない。その世界がどんなものか、鬱を経験したことがない人には想像が出来ないと思うし、また、想像できないことの方が、幸せなことでもあると思う。僕の場合は、鬱と
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