うす布/田中修子
 

  五枚のうす布を縫い合わされたスカートの裏側
   ひるがえって街灯に照らされている
    わたしらはふしだらな女たちのそのうちがわを
     酒をのみながら好色に覗き込んでいるんだろう)

呵々、笑って歩こう
ほらあ、桜の花びらが舞い降りてそのうす布が、
わたしの髪の毛を死で飾ってくれる。
くびりころしてきましたよぅ、幾人も、この世に溢れかえる怨嗟の声は、
病身の、秒針の音

(うるさいねっ
 チク、
  タク、
   チク、
    タク、えいえんの音)
と共に
桜の花びらが散る

金朱! 銀桃! の、花びらが散るよぅ、
魔女は火刑に処しましょう
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