うす布/田中修子
五枚のうす布を縫い合わされたスカートの裏側
ひるがえって街灯に照らされている
わたしらはふしだらな女たちのそのうちがわを
酒をのみながら好色に覗き込んでいるんだろう)
呵々、笑って歩こう
ほらあ、桜の花びらが舞い降りてそのうす布が、
わたしの髪の毛を死で飾ってくれる。
くびりころしてきましたよぅ、幾人も、この世に溢れかえる怨嗟の声は、
病身の、秒針の音
(うるさいねっ
チク、
タク、
チク、
タク、えいえんの音)
と共に
桜の花びらが散る
金朱! 銀桃! の、花びらが散るよぅ、
魔女は火刑に処しましょう
[次のページ]
戻る 編 削 Point(14)