うす布/
田中修子
ょう。
わたしは、
火の柱。
夜をあおぐ、長くたなびく黒髪の焦げる、
風に仰がれて舞い散る桜の花びらに
ポッと
炎が うつる。
火柱、黒く焦げる体、内腑で爛れる林檎飴のにおいは鼻をついて甘い。
キャラメルのにおい。--幼児の口。
燃え上がりながら、つめが伸びる、爪が硬質の銀の羽になる。
娼婦たちの嘆きのうす布は引き裂かれて燃えあがった。
あなたらはもう素顔を見せていい。
桜並木がゴウゴウと燃えあがる。
ここは錦に織られた絢爛の、夢のそこ。
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