象の話/腰国改修
 
加したジャングルツアーの最終日だった。ガイドの現地人がその穴の言い伝えについて話していた。昔、日本兵が象に乗ってこの穴に落ちて死んだ。象は生き残り、それからというもの飼い主であった主人に教えられた日本語を鳴き真似ているのだと。日本兵は占い師にやがてあなたは穴に落ちて生涯を終えると言われ、穴に落ちて自分が気絶しても助けを呼ぶことが出来るように象におおい、おおい助けてくれという言葉を教え込んだが、教え方が悪かったのか、覚えが悪かったのか、おおい、おおいが精一杯だった。そうこうしているうちに運命は回転して転落に至ったのだという。

悲しいような、不思議なような、まるで嘘っぱちのようだと思っていると、
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