象の話/腰国改修
 
と、突然気分が悪くなった。ガイドにその旨を話すとそこの岩に腰掛けて休みなさいと言われた。そうさせてもらおうと岩に腰掛けたら、岩ごと一緒に穴の中に落ちてしまった。恐怖を感じるまもなく穴の底に激突して気を失った。

気がつくと湿っぽい真っ暗な空間にいた。汗をぬぐおうと手を額にやったつもりが、それは手ではなくて鼻だった。しまった!という気分だったが、意に反して出た言葉は「おおい、おおい」だった。仕方がないので、次のツアー客が落ちてくるのを待とうと思ったら、背後に人影ならぬ象影が…。振り向くとくらやみの中、百頭近い象が蠢き、一斉におおい、おおいと鳴き始めていた。仕方がなく一緒になっておおい、おおいと叫ぶよりはなかった。


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