朝の窓辺のスケッチ/春日線香
窓辺に石を置いたのはきみだろうか。
陶片に記された物語を読むのに夢中な肺の持ち主。
ネットに入れてバジルを乾燥させている。洗濯物の横では
ぶら下がったハンガーが一本、顔をしかめる。
詩を一つ書く。
どんな時空も嘘で、嘘が時空で、厳かに震える、ホルンが
地底で割れているといっても信じようとしない。色が砕けて
やり場がない。泡が潰れる。水が吐き出されて。
窓辺に石を置いて。
詩は幾筋もの川を流れようとしているのに、記憶は枝分か
れして様々な脳に流れ込むのに、軌道トラック、小さな肉体
を運ばれて、チューブの中に滑り込む。スローモーション。
伏せられ
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