嘘つき/腰国改修
 
るでしょうけれど、ともかく、書くことに集中すると、嘘も方便などと簡単に言ってられないほど、力の限り嘘を書いてしまうのです。実は一緒に暮らしたいという女性がいて、少し遠いところに住んでいるんですが、私はあまりお金がないので、懸命に自転車を漕いで彼女の街まで行き、あたかも電車でやってきたように、駅舎の中の土産売り場がどうだ、途中車窓から溜池が見えたなど、そこでも嘘を重ねるのです。そうなるともう、何が本当か嘘だかは分かりません。だから、何も考えずに話しました。私は一枚の色紙に小さな詩を書いて彼女に渡しました。読む人が読めば、ああ、この場合は彼女ですが、彼女が読めば一緒に住もうと、一種のプロポーズのように
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