ルナ・オービター/春日線香
でも何もこんなところでなくてもいいではないか。橋の上からは暗い水面がただ轟々と下流へ向かうのが見え、少しバランスを崩すとあっという間に水面下に引き込まれてしまうだろう。もしかするとそれを狙っているのかもしれないが、さすがに横暴が過ぎるのではないか。人死が出たらバンドの存続に関わるのではないだろうか……と不安に思っていたら、三人が面をさっと外す。そこにはまたもや火男の面が。それもかなぐり捨てると、さらに火男の面が。いつ果てるともなく無限の火男の面が。
* * *
ここに新幹線が埋まっていますよ、と言われたので、そんなものかと覗き込む。本当だ。深いところでまだちか
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