ルナ・オービター/春日線香
 
夜中に断水するというのでポットにティーバッグを放り込んでおいた。水出しのお茶を枕元に置いて寝れば水道が使えなくても一安心というわけ。そのまま布団で本を読みながら寝落ちすると、案の定夜中に目が覚めてしまう。ライトをつけてお盆ごと引き寄せると、作っておいたお茶は透明なままで、その中を数匹の金魚が泳いでいる。種類はどうやら普通の和金や出目金のようだ。これでは飲めないなあ、困るなあ、とひらひらと優雅に泳ぐ金魚を眺めながら、いつのまにかまた眠っていた。


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ゆらゆら帝国の三人がちょうど来たところで、三人とも火男の面を被っている。好きな曲をやってくれるらしい。でも
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