幽霊の感触―即興詩の試み/春日線香
はためいて、この時をいつまでも残しておきたい。信号は赤から青へ。分岐から分岐へ。落ちるような穴は見当たらない。地獄の入り口を象徴する巨人の大口、そんなものは存在しない。
* * *
本当に?
* * *
遠くで自転車が滑ってこけたので走り寄っていく。声をかけてみるがそそくさと離れて見えなくなってしまった。その後はまた小銭を数えて鶏肉を買い、野菜ジュースも買う。ハクビシンが電柱を器用に登るのに出会う。家に戻って電気をつける瞬きの間に、影が逃げる。
* * *
向かいのアパートにカーテンの
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