Storytelling, Again 2018・9/春日線香
 
ったようだ。自販機でジュースを買って壁のポスターを眺めていると館内からくぐもった音が伝わってきて、誰も通らない廊下にはしばらく自分一人しかいなかった。


         * * *


絵の教室で聞いた話。とある農家から出た木の仏像があって、手に入れた画家がアトリエで作業の合間に眺めて過ごしていた。ある日、いつものように画布と格闘していると、いきなり真っ二つに仏像が割れた。頭の先から膝まできれいに二つに分かれてしまい、おそるおそる開いてみると、仏像の中には蟻の巣が広がっていて、ただしもう蟻はとうの昔に消え果てて巣の廃墟になっていたという。まるで胃や腸のようだったよ、と画家は笑いなが
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