Storytelling, Again 2018・9/春日線香
 
ながら話した。


         * * *


枕に頭をのせて考える。今この床下の暗闇のさらに下、地中に太古の塩水の溜まりがあって、そこでは数え切れないホヤの群れが生きている。無数のホヤが幾重にも積み重なり、水を吸入しながら性交に励んで際限なくその数を増やしている。赤茶色の華麗なる王国。無言の喜びの歴史。彼らがそれぞれに夢見ている宝石の小函に納められた、一粒の新鮮な砂金の輝き。


         * * *


曇り空にいくつもの首が浮いているだろう。固く目を閉じて口元には微かに笑みを浮かべて。風向き、あるいは地球の磁場に従って一様に同じ方角を向いて。どの首もかつ
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