カメラロール群像/万願寺
 
食べています。いいのね。もういいのね。さよならでいいのね。
消えてなくなるとあなたは信じよう。ここにはもう何もない。
困ったことに、私たちが、その断片を少しだけ持ち抱えるけれど、そのくらいはあなたに隠し通してみせます。ねえ忘れるっていいよね。苦しいも悲しいも寂しいも全部、あなたは胃から逆流させてしまうたちだけれど、それを掬う手は、いつでもあるんだよ。
全部捨てて。この網が、きれいな砂金の部分だけ、きらきら持ち越しておいてあげます。もう後から見たらそんなのは髪だか水だか薬だか、なんだかわからなくなりましょう。あなたのきらきらは、常にどこにも存在していて、吐き出す中にも一定量含有される。それはね
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