透明なナメクジと金の飾りに、骸骨のお姫さま/田中修子
ち、不思議とこころが落ち着いてきました。そうして翡翠色の海に飛び込んだのです。
大きな波にからだのひきずられてゆく恐ろしさ。
それでも、骸骨のお姫さまは、いままで透明なナメクジにかじられて、肉も内臓もぼろきれのように食い千切られて痛んできたこと、自分で自分に何をしてきたかを思うと、不思議とこころが落ち着きます。
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深い、深い海です。
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お城で出されたアケビのように漂うクラゲに触れると甘くピリっとしました。
銀色の夏の風のようにそよいで群れる魚たち、底にみえるけわしい岩々とゆれる緑の藻。
やわやわと、厚いレースのような赤いのは、タコで、だきしめられる
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