透明なナメクジと金の飾りに、骸骨のお姫さま/田中修子
れるときゅっと吸盤の跡がつくのです。
海は、雨に降りしきられるようにとても重く、からだは砕けてしまいそうですが、骸骨のお姫さまは、「生きている」と思いました。
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そう、透明なナメクジに気をとられ、骸骨のお姫さまは、自分がまだ生きていたことを忘れてしまっていたのです。
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沈むところまで沈んでいきますと、巨大な、死にかけた真っ白いサメがおりました。からだに深く切り刻まれた傷がつき、そのからだを静かに底にある岩に横たえております。となりには、真っ白に腐った女の人がいて、優しくサメをなでているのでした。
骸骨のお姫さまは、女の人を見たときに、あの若者の婚約者と
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