透明なナメクジと金の飾りに、骸骨のお姫さま/田中修子
 
まえば、わたしはきっと溺れ死んでしまいます。そうしてこの金の飾りを捨てることは、わたしにはできません。おかあさまとおとうさまがくださった、ただひとつのものなのです」
「なに」
若者は笑いました。
「こんな目にあって骸骨になってまで、あなたは生きているじゃあありませんか、きっと帰ってこられます。僕だってこのように多くの母の呪いを引きうけても、まぁ生きてはいるのです。海で遊んでくるといいですよ。金の飾りはちょうどいい重しになるでしょう。僕が帰りをまっています。僕は少しまえ、婚約者を海で溺れさせて亡くしたのです。あなたならきっと、僕の婚約者とも会えるでしょう」
?
 若者をじっと見つめるうち、
[次のページ]
戻る   Point(3)