透明なナメクジと金の飾りに、骸骨のお姫さま/田中修子
 
手に入らないであろう金の飾りを背負った骸骨のお姫さまが、かなしそうに浜に立ち竦んでいることを不思議に思って、話しかけます。
 ふしぎなことに、若者には、骸骨が、骸骨のお姫さまだとわかったのですね。この不思議ばかりは、どんなことばでもいあらわせません、
「どうしてそんなにかなしそうになさっているのですか」
「あなたの目には映らないでしょうけれど、わたしのからだには、大人のこぶしほどもある透明なナメクジが何十匹も這っていて、どうしても取れないのです」
「そこに海があるではないですか。塩水にはいれば、どんなにナメクジでも、簡単に海へ還ってしまいますよ」
「この金の飾りの重みで、海に入ってしまえ
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