透明なナメクジと金の飾りに、骸骨のお姫さま/田中修子
から、漁師たちは金の亡者のなれの果ての幽鬼と思い、石つぶてを投げるのです。
石があたると、カランコロンときれいな音が鳴りひびきます。
漁師たちはいつしか石を投げるのに夢中になって仕事をしなくなってしまいます。漁師の町は猫もしっぽを逆立ててうなるほどの腐った魚のにおいにみちていきました。骸骨のお姫さまは、さびしくさまよって町はずれの白い十字架のヌクヌクとたつ薔薇の丘にたどりゆきます。
(困ったもんじゃ、ほうれ、高貴なかたや、こちらにいらっしゃい)
やさしい漁師のご先祖さまがたに導かれて、薔薇のしげみのなかに隠れながら、町のさびれてゆくさま子をみて、骸骨のお姫さまはよりいっそう、儚くなって
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