透明なナメクジと金の飾りに、骸骨のお姫さま/田中修子
 

 砂漠にはめずらしい、シトシトと雨のふる日がありました。
 そのあくる日、骸骨のお姫さまは、繭から羽化したのです。
 姿かたちはあまり変わっていませんでした。けれども、ほんのすこし、砂漠を歩ききる力が、足にもどっていました。
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 骸骨のお姫さまが出たあと、大樹は、ウロのところから、しずかに倒れました。 
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? やがて翡翠の色をしてドウドウとうねる、冷たい海の浜に出ました。そこには、漁師たちの町がありました。
 そのころにはすべての肉と内臓、そうして美しかった布まで透明なナメクジにむしゃむしゃと食べられてしまい、素性も知れぬ真っ白な骸骨が金の飾りをかけているものですから
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